有給の計画的付与のデメリット|一斉付与の注意点

\u6709\u7d66\u306e\u8a08\u753b\u7684\u4ed8\u4e0e\u306e\u30c7\u30e1\u30ea\u30c3\u30c8\uff5c\u4e00\u6589\u4ed8\u4e0e\u306e\u6ce8\u610f\u70b9 有給休暇

本記事にはプロモーション(PR)が含まれます。

「夏季休暇として8月に有給を3日割り当てます」と会社から一方的に通知され、本当は転職活動や親の通院に取っておきたかったのに、と戸惑う人がいます。これは計画的付与(けいかくてきふよ)という制度で、会社が有給休暇の取得日をあらかじめ決めてしまう仕組みです。結論から言うと、この制度で会社が指定できるのは有給のうち「5日を超える部分」に限られ、残り5日は必ず自分の意思で自由に使える分として残ります(労働基準法39条6項)。つまり損得を判断する基準は「自分で自由に使える日数がいくつ手元に残るか」です。付与日数が少ない人ほどこの5日枠に余裕がなく、退職時の有給消化や急な私用に回せる日が足りなくなります。以下でその中身を具体的に見ていきます。

計画有給(計画的付与)と自分で使う有休は何が違うか

静かなオフィスでカレンダーを見る手
静かに休日を待つひととき(イメージ)

ふだん「有休を取りたい」と申請して休むのは、労働者が取得日を指定する時季指定権(労働基準法39条5項)に基づくものです。これに対して計画的付与は、会社と労働者側(労働組合または過半数代表者)が労使協定(会社と従業員代表の書面での取り決め)を結んだうえで、会社側が取得日を割り振ります。同じ有給休暇でも「誰が日を決めるか」が正反対です。

比較点 自分で使う有休(時季指定) 計画有給(計画的付与)
取得日を決める人 労働者本人 会社(労使協定に基づく)
根拠条文 労働基準法39条5項 労働基準法39条6項
対象になる日数 付与された全日数 5日を超える部分のみ
本人の都合での変更 原則いつでも申請できる 原則として個人の都合では変更できない
使われ方の例 私用・通院・冠婚葬祭など お盆・年末年始・飛び石連休の橋渡しなど

ポイントは、計画的付与で会社が動かせるのは「5日を超える部分」だけという点です。たとえば有給が10日ある人なら、会社が計画的に指定できるのは最大5日で、残り5日は本人が自由に使えるまま守られます。この5日の枠があるため、会社が全部を勝手に消化させることはできません。

一斉付与・交代制・個人別という3つの方式

厚生労働省の計画的付与制度の手引きでは、付与のやり方が大きく3つに整理されています。自分の会社がどれを採用しているかで、休む日の自由度が変わります。

方式 内容 向いている場面
一斉付与方式 全社員が同じ日に一斉に有給を取る 製造ラインの停止、全社的な連休づくり
交代制付与方式 班・グループごとに交代で取る 接客・サービスなど窓口を開け続けたい業種
個人別付与方式 従業員ごとに計画表で取得日を決める 誕生日休暇や個人の希望を反映したい会社

このうち読者が「損した」と感じやすいのが一斉付与方式です。会社全体が同じ日に休むため、自分は出勤して仕事を進めたい日でも休まされたり、逆に取っておきたかった日が会社都合で消えてしまったりします。

一斉付与で得する人・損する人

オフィスデスクで手帳を前にした手元
自分の休暇を思案する手元(イメージ)

一斉付与は一律に良い制度でも悪い制度でもなく、立場によって損得が分かれます。

  • 得する人: ふだん有給を言い出しにくい職場の人。会社が休みを設定してくれるので、気兼ねなく休め、取得率も上がる。飛び石連休が大型連休になる。
  • 損しやすい人: 有給を計画的に自分で使いたい人。特に退職や転職を控えていて、辞めるときにまとめて消化したいと考えている人は、会社に先に消化させられると手元の残日数が減る。
  • 特に注意が必要な人: 入社直後で付与日数が少ない人や、パート・アルバイトで比例付与により日数が少ない人。一斉付与日に充てる有給が足りないと、その日をどう扱うかが問題になる。

付与日数が5日以下の人は、計画的付与の対象になる「5日を超える部分」がそもそも存在しません。会社が一斉付与日を設定しても充てる有給がない場合、会社は特別の休暇を与えるなどの対応を取ることが手引きで求められています。ただし実務では会社ごとに扱いが異なるため、足りない人は事前に人事へ確認しておくと安全です。

自由に使えるのが5日分だけになる仕組み(計算例)

デメリットの核心は数字で見るとはっきりします。有給が10日ある正社員のケースで内訳を示します。

  • 付与された有給: 10日
  • 計画的付与で会社が指定できる上限: 10日 − 5日 = 最大5日
  • 会社が一斉付与で夏季3日・年末2日を指定: 合計5日
  • 自分の判断で自由に使える残り: 10日 − 5日 = 5日

この例では、通院・私用・退職前の消化などに自由に回せるのは5日しか残りません。翌年に繰り越せる分を考えても、「いざというときの持ち駒」が半分になるイメージです。前年からの繰越分がある人は、繰越分も含めた総日数の「5日を超える部分」が計画的付与の対象になるため、繰越が多い年ほど会社に割り振られる余地が増える点にも注意してください。

判断フロー: 会社が決めた計画有給に納得できないとき

「この日は休みたくない」「取っておきたい」と感じたときの考え方を、条件ごとに整理します。

  1. そもそも労使協定はあるか → 労使協定がなければ計画的付与自体が成立しません。協定の有無を人事や従業員代表に確認する。
  2. 指定されたのは5日を超える部分か → 自由に使える5日枠まで会社が奪っていないかを確認する。5日枠に食い込んでいれば会社側の運用に誤りがある可能性。
  3. 個人の都合で変えられるか → 計画的付与は原則として個人都合での変更ができません。どうしても外したい事情があれば、労使協定の内容と例外規定を確認したうえで会社に相談する。
  4. 退職を予定しているか → 退職とセットで有給の残り方が問題になる場合は、次の見出しを参照。

退職を考えているなら有給の残り方に注意

デスクでカレンダーを眺める会社員の背中
デスクでカレンダーを見る夜(イメージ)

計画的付与のデメリットが最も痛いのは、退職を控えているときです。会社に先回りして5日分を消化させられると、辞めるときにまとめて消化できる有給が減り、最終出社日から退職日までの調整がしにくくなります。有給が足りないと、その分は欠勤扱いや退職日の前倒しにつながることもあります。

退職時に残った有給をきちんと消化したい、あるいは会社と有給の取り扱いでもめたくないという場合、有給消化の交渉に対応できる業者かどうかで結果が変わります。運営主体(民間・労働組合・弁護士)ごとにできる交渉の範囲が異なるため、どの型を選ぶべきかは退職代行の比較記事(有給交渉できるのはどの型か)で確認できます。

よくある質問

計画有給は拒否できますか

労使協定に基づいて正しく設定された計画的付与は、原則として個人の都合だけで拒否や変更はできません。ただし対象は5日を超える部分に限られるため、自由に使える5日枠まで指定されている場合は会社側に確認する余地があります。

有給が5日しかない人はどうなりますか

計画的付与の対象は「5日を超える部分」なので、付与日数が5日以下の人には割り振る有給がありません。一斉付与日に充てる有給が足りない場合、会社は特別休暇を与えるなどの対応を取ることが厚生労働省の手引きで求められています。実際の扱いは会社ごとに違うため、事前に人事へ確認してください。

計画有給と一斉付与は同じ意味ですか

厳密には異なります。計画的付与は制度全体の名前で、その付与のやり方の一つが「一斉付与方式(全社員が同じ日に休む)」です。ほかに交代制付与方式、個人別付与方式があります。

繰り越した有給も計画的付与の対象になりますか

前年から繰り越した日数も含めた合計のうち、5日を超える部分が対象になります。繰越が多い年は会社に割り振られる日数が増えやすい点に注意してください。

計画有給の日に働いたら手当はもらえますか

計画的付与で有給休暇とされた日は「休み」の扱いなので、その日は出勤しないのが原則です。運用や賃金の扱いに疑問があるときは、労使協定の内容と就業規則を確認し、会社に問い合わせてください。

パートやアルバイトにも計画有給はありますか

あります。パート・アルバイトも比例付与で有給が発生し、労使協定を結べば計画的付与の対象になります。ただし付与日数が少ないほど「5日を超える部分」が小さく、対象日数も限られます。

参考・出典

  • 労働基準法 第39条(年次有給休暇・計画的付与)/e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/
  • 厚生労働省「年次有給休暇の計画的付与制度」導入の手引き https://www.mhlw.go.jp/
タイトルとURLをコピーしました