退職金の税金がかからない金額|控除の計算

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勤続12年で退職金が350万円ほど。振込明細を見て「思ったより手取りが多い」と感じた人もいれば、退職代行を使って辞めた直後に「税金でごっそり引かれていた」と驚く人もいます。この差は運ではなく、退職所得の受給に関する申告書(退職金を受け取る前に会社へ出す書類)を出したかどうかで生まれます。退職金は給与や賞与とは別の「退職所得」として計算され、勤続年数に応じた大きな控除と2分の1課税があるため、多くの人はそもそも税金がかからない金額に収まります。まず押さえるべき基準は一つで、退職金が「退職所得控除額」以下なら税金はかからないという点です。以下でその金額の出し方と計算例、そして申告書を出さなかったときに何が起きるかを順に見ていきます。

退職金に税金がかからない仕組み(退職所得控除と2分の1課税)

デスクの上で書類とペンに手を添えるビジネスパーソンの手元
将来を静かに見つめる時間(イメージ)

退職金の税金が軽くなる理由は二段構えです。国税庁のタックスアンサーNo.1420(退職金を受け取ったとき)によると、退職所得は次の式で計算します。

  • 課税対象になる退職所得 =(退職金の額 − 退職所得控除額)× 1/2

まず勤続年数に応じた「退職所得控除額」を差し引き、そのうえで残りをさらに半分にします。この2分の1課税があるため、控除を少し超えた程度では課税される部分がごくわずかになります。退職金が退職所得控除額の範囲内に収まっていれば、課税対象はゼロになり税金はかかりません。つまり「税金がかからない金額」とは、自分の勤続年数から計算した退職所得控除額そのものです。

退職所得控除額の計算(40万円×勤続年数、20年超は別枠)

退職所得控除額は勤続年数で決まります(国税庁No.1420)。勤続年数に1年未満の端数がある場合は1年に切り上げて数えます。

勤続年数 退職所得控除額の計算式
20年以下 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年超 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

20年を境に1年あたりの控除が40万円から70万円に増えるのが特徴です。長く勤めた人ほど非課税になりやすいのはこのためです。

退職金の税金がかからない金額の目安(勤続年数別の計算例)

実際に控除額を計算すると、非課税になる退職金の上限が見えてきます。下表は勤続年数ごとの退職所得控除額、すなわち「これ以下なら税金がかからない金額」です。

勤続年数 退職所得控除額(=非課税になる上限)
10年 40万円 × 10 = 400万円
20年 40万円 × 20 = 800万円
25年 800万円 + 70万円 × 5 = 1,150万円
30年 800万円 + 70万円 × 10 = 1,500万円

具体例で確認します。勤続10年で退職金が300万円の人は、控除額400万円のほうが退職金より大きいため、課税対象は0円で税金はかかりません。勤続25年で退職金が1,500万円だった人は、控除額1,150万円を差し引いた350万円をさらに半分にした175万円が課税対象になります。退職金の全額にそのまま税率がかかるわけではない点が、他の所得との大きな違いです。なお課税対象額に対する所得税は所得税の速算表に基づいて計算され、別途住民税もかかります。

申告書を出さないと20.42%源泉される(有給手当との違いにも注意)

机の上で書類を持つ手元
大切な書類と向き合う(イメージ)

ここまでの控除と2分の1課税は、退職金の支払いを受けるときに「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先へ提出していることが前提です。この申告書を出していれば会社が控除を反映して正しい税額を源泉徴収し、原則として確定申告は不要になります。

一方、申告書を出さないと控除も2分の1課税も適用されず、退職金の額に対して一律20.42%が源泉徴収されます(国税庁No.1420)。本来は非課税だったはずの人でも、いったん2割ほど差し引かれてしまうということです。退職代行を使って会社とのやり取りを最小限にしたい場合ほど、この書類の提出漏れが起きやすいので注意が必要です。引かれ過ぎた分は、退職した年の分を翌年に自分で確定申告すれば還付されます。

有給手当・有給の買取は退職金と分けて考える

退職時にまとめて受け取る有給消化中の給与や、会社が認めた場合の有給の買取金は、原則として退職金(退職所得)ではなく給与所得として扱われます。そのため退職所得控除の対象にはならず、退職金とは別の課税になります。有給手当そのものの算定方法(3通りの計算)は別記事で詳しく扱っているため、ここでは「退職金の控除枠は有給手当には使えない」という点だけ押さえてください。

税金がかかるか判断するフロー(条件→結論)

自分の退職金に税金がかかるかは、次の順で確認すると判断できます。

  1. 勤続年数から退職所得控除額を計算する(20年以下なら40万円×年、20年超なら800万円+70万円×超過年数)。
  2. 退職金の額が控除額以下 → 課税対象は0円で税金はかからない。
  3. 控除額を超える → 超えた分の1/2が課税対象。全額に課税されるわけではない。
  4. いずれの場合も「退職所得の受給に関する申告書」を会社へ提出 → 出さないと額面の20.42%が源泉徴収される。

多くの会社員は勤続年数に対して退職金がこの控除額の範囲に収まるため、結果的に非課税になります。まず自分の勤続年数で控除額を出し、退職金の見込み額と比べるのが確実です。

退職金の受け取りでもめないための備え

相談する会社員の後ろ姿と担当者
専門家との打ち合わせ風景(イメージ)

税金の前段として、そもそも退職金が規定どおり支払われるか、有給を消化できるかで会社と食い違うことがあります。有給消化や未払い分の交渉は業者の運営主体(民間・労働組合・弁護士)によってできる範囲が変わり、料金や交渉できる内容が違います。どの型なら有給や退職金の交渉ができるかは、退職代行おすすめ8社の比較記事で運営主体ごとに整理しています(各社の料金は2026年9月時点・公式サイト確認)。

よくある質問

退職金に税金がかからないのはどんな場合ですか

退職金の額が、勤続年数から計算した退職所得控除額(20年以下は40万円×勤続年数、20年超は800万円+70万円×超過年数)以下に収まっている場合です。この範囲なら課税対象は0円になり、所得税・住民税はかかりません。

退職所得控除は何年勤めると増えますか

勤続20年を超えると、1年あたりの控除が40万円から70万円に上がります。たとえば勤続25年なら800万円に70万円×5年を足した1,150万円が控除額です。長く勤めるほど非課税になる上限が大きくなります。

申告書を出し忘れて20.42%引かれたら戻りますか

戻る可能性があります。退職した年の翌年に自分で確定申告をすれば、退職所得控除と2分の1課税を反映した正しい税額との差額が還付されます。源泉徴収票を保管しておいてください。

有給消化中の給料に退職金の控除は使えますか

使えません。有給消化中に受け取る給与や有給の買取金は原則として給与所得の扱いで、退職所得控除の対象外です。退職金とは別枠で課税されると考えてください。

パートやアルバイトの退職金も同じ計算ですか

退職金として支給されるものであれば、雇用形態にかかわらず退職所得控除と2分の1課税の計算は同じです。ただし退職金制度があるかどうかは勤務先の規定によります。

退職代行を使うと税金の手続きは誰がやりますか

税金の申告書(退職所得の受給に関する申告書)の提出や、必要な場合の確定申告は原則として本人が行います。退職代行は退職の意思表示や書類の受け渡しの取り次ぎが中心で、税務手続きの代行はできないため、申告書の提出漏れがないか自分で確認しておくと安心です。

参考・出典

  • 国税庁 タックスアンサー No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得): https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm
  • e-Gov法令検索 所得税法(退職所得の計算・源泉徴収): https://elaws.e-gov.go.jp/
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