公務員の退職手当と退職金の違い|支給の仕組み

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市役所や公立学校、警察や消防などに20年、30年と勤めてきて、いよいよ辞めることを考え始めたとき、手元に入るお金を「退職金」と呼んでよいのか、それとも「退職手当」なのか、書類や説明で言葉が入り混じって戸惑う方は少なくありません。民間から公務員へ転職した人ほど、以前の会社の退職金制度と何が違うのかがつかみにくいところです。

結論から言えば、公務員が受け取るお金は制度上「退職手当」と呼ばれ、会社ごとのルールで決まる民間の退職金とは根拠がまったく異なります。判断の軸は二つです。第一に、その支給が「法律・条例」という公的なルールに基づいていること。第二に、懲戒免職などの処分を受けると支給されないことがあること。この二点を押さえると、自分がいくら受け取れるのか、どういう場合に減るのかが見通せるようになります。

公務員の「退職金」と「退職手当」は何が違うのか

落ち着いたオフィスで公式な書類を見る手元
法令に基づく規定を読み解く手元(イメージ)

民間企業の退職金は、会社が任意で設ける制度です。就業規則や退職金規程(社内の支給ルール)に定めがあって初めて支払われるもので、制度そのものが無い会社では退職金が出ないこともあります。金額の計算方法も、勤続年数に応じたテーブルを使う会社、基本給連動の会社、ポイント制の会社など、企業ごとにばらばらです。

これに対して公務員の場合、支給されるお金の正式名称は「退職手当」です。国家公務員退職手当法や、各自治体が定める退職手当条例(都道府県・市区町村ごとの支給ルール)という公的な決まりに基づいて支払われます。会社の裁量ではなく法令が根拠になっている点が、民間との最大の違いです。日常会話では「公務員の退職金」と言っても通じますが、制度・書類の上では「退職手当」が正しい呼び方だと理解しておくと、手続きの説明が読みやすくなります。

項目 民間企業の退職金 公務員の退職手当
根拠 会社ごとの就業規則・退職金規程(任意の制度) 国家公務員退職手当法/各自治体の退職手当条例
支給の有無 制度が無ければ支給されないこともある 法律・条例に基づき原則として支給される
金額の決まり方 会社ごとに独自に算定 退職時の俸給月額×支給率+調整額
懲戒処分を受けたとき 各社の規程による 懲戒免職などで全部または一部が不支給になり得る

退職手当の根拠は法律と条例|国家公務員と地方公務員で分かれる

同じ公務員でも、退職手当の根拠となるルールは身分によって分かれます。国の省庁などで働く国家公務員は「国家公務員退職手当法」が直接の根拠です。一方、市役所や県庁、公立学校の教員といった地方公務員は、勤め先の自治体が定める「退職手当条例」に基づいて支給されます。

地方の退職手当条例は、多くの自治体が国家公務員退職手当法に準じた内容で作られていますが、支給率や調整の細部は自治体ごとに条例で定められているため、完全に一律ではありません。実際に、複数の自治体の条例を確認すると、基本的な計算の枠組みは共通しつつも、独自の加算や経過措置を設けている例があります。自分の退職手当がいくらになるのかを正確に知りたい場合は、勤務先の人事・給与担当部署か、自治体が公開している退職手当条例を確認するのが確実です。

勤続20年・30年でいくら?|支給額の決まり方と定年引上げの影響

デスクでノートに触れる会社員の手元
これまでの歩みに想いを馳せる(イメージ)

退職手当の金額は、大きく「基本額」と「調整額」を足して求める仕組みです。基本額は、退職日の俸給月額(公務員の基本給にあたる額)に、勤続年数と退職事由に応じた「支給率」を掛けて計算します。ここに、在職中の役職などに応じた調整額が加わります。

ポイントは、支給率が「勤続年数」と「辞め方(退職事由)」の二つで変わることです。勤続年数が長いほど支給率は上がり、同じ勤続年数でも、定年退職や勧奨退職(退職の勧め)の場合と、自己都合退職の場合とでは支給率が異なります。一般に自己都合退職では支給率が抑えられる設計になっているため、同じ30年勤めても、定年で辞めるのと自己都合で辞めるのとでは受け取る額に差が出ます。

「勤続20年でいくら」「30年でいくら」という具体的な金額は、俸給月額と支給率、調整額が人によって異なるため一律には示せません。全国的な水準の目安は、内閣官房が公表している退職手当の支給状況(統計)で確認できます。ご自身の見込み額は、勤務先で交付される給与明細の俸給月額をもとに、人事担当部署へ試算を依頼するのが最も確実です。

定年65歳への引上げで変わる取扱い

公務員の定年は、これまでの60歳から65歳へ段階的に引き上げられています。この移行期間中は、定年前の一定年齢から短時間勤務を選べる仕組みや、経過措置が設けられており、いつの時点で辞めるかによって退職手当の扱いが変わる場合があります。引上げの途中で退職を考えている方は、自分の生年月日ではどの年齢が定年にあたるのか、退職手当の計算にどう影響するのかを、事前に人事担当へ確認しておくと安心です。

懲戒免職では支給されない|不支給の仕組みと判断フロー

退職手当は法律・条例に基づいて支給されますが、どんな辞め方でも必ず満額もらえるわけではありません。懲戒免職(重い規律違反による免職処分)を受けた場合は、退職手当の全部または一部が支給されないことがあります。国家公務員退職手当法には、懲戒免職などの処分を受けたときに退職手当の全部または一部を支給しないことができる定めがあり、地方公務員の退職手当条例にも同様の規定が置かれています。

一方で、自分の意思で辞める依願退職(本人の願い出による退職)や、定年退職の場合は、通常どおり退職手当が支給されます。つまり「辞めること」自体が減額の理由になるのではなく、処分の有無が分かれ目になります。自分の退職手当がどう扱われるかは、次の順で確認すると整理できます。

  1. 懲戒免職などの処分を受けて辞めるのか。受けている場合は、全部または一部が不支給になり得る。
  2. 処分ではなく、自分から願い出て辞める依願退職か。その場合は、勤続年数と退職事由に応じた支給率で計算される。
  3. 定年・勧奨による退職か。その場合は自己都合より高い支給率が適用されることが多い。
  4. いずれの場合も、最終的な金額は勤務先の人事・給与担当が算定するため、見込み額はそこで確認する。

公務員が上司との関係などで自分から退職を切り出しにくく、退職の意思表示を代行サービスに頼む「公務員の退職代行」を検討するケースもありますが、公務員の退職は任命権者(採用・免職の権限を持つ側)の承認を要するなど民間とは手続きが異なるため、対応の可否や範囲は事前の確認が必要です。

公務員が退職手当を確実に受け取るために|退職代行を使う場合の費用

机に向かい書類を前に座る人の後ろ姿
専門家へ相談する決意の時(イメージ)

退職の意思を自分で伝えられれば、退職手当は法律・条例に沿って支給されます。ただ、心身の不調などで職場との連絡が難しく、退職の申し出や有給消化の希望を第三者に代わってもらいたい場合、退職代行(退職手続きの連絡を代行するサービス)を使う選択肢があります。公務員の場合は、民間型や労働組合型では対応の範囲が限られることがあり、法律事務を扱える弁護士型が公務員対応をうたっている例があります。

費用感の目安として、弁護士法人みやびの公務員対応プランの内訳は次のとおりです(2026年9月時点・公式サイト確認)。

  • 着手金(公務員対応): 55,000円(税込)
  • 成功報酬: 未払い給与・退職手当・有給の交渉などで金銭を回収できた場合、回収額の20%+税
  • 計算例: 交渉による回収が発生せず手続きだけで完了すれば、費用は着手金の55,000円。回収交渉が発生した場合は、そこに成功報酬が加算される

会社員・アルバイト向けの着手金が27,500円であるのに対し、公務員対応は55,000円と設定されており、身分によって費用が変わる点に注意が必要です。どの運営主体(民間・労働組合・弁護士)が何を交渉できるのかを含めた各社の料金や対応範囲は、退職代行おすすめ8社比較の記事で確認できます。

よくある質問

公務員には退職金がないというのは本当ですか

「退職金」という民間向けの呼び方の制度は無い、というのが正確です。公務員には法律・条例に基づく「退職手当」があり、勤続年数などの条件を満たせば原則として支給されます。名称が違うだけで、まとまった額を受け取れる仕組みは存在します。

自己都合で辞めると退職手当は減りますか

同じ勤続年数でも、自己都合退職は定年や勧奨による退職に比べて支給率が抑えられる設計になっているため、受け取る額が少なくなる傾向があります。具体的な差は勤続年数や俸給月額によって変わるので、人事担当に試算を依頼して確認するのが確実です。

懲戒処分を受けても退職手当はもらえますか

懲戒免職などの処分を受けた場合は、退職手当の全部または一部が支給されないことがあります。国家公務員退職手当法や各自治体の退職手当条例に不支給の定めがあるためです。処分ではない依願退職や定年退職であれば、通常どおり支給されます。

国家公務員と地方公務員で退職手当は違いますか

根拠となるルールが異なります。国家公務員は国家公務員退職手当法、地方公務員は勤務先の自治体が定める退職手当条例に基づきます。多くの自治体は国に準じた内容ですが、支給率や調整の細部は条例ごとに異なることがあるため、勤務先の条例を確認してください。

勤続20年や30年でいくらもらえるか知りたいです

金額は退職時の俸給月額と支給率、調整額で決まり、人によって差が出るため一律には示せません。全国的な水準は内閣官房の退職手当の支給状況で、個別の見込み額は勤務先の人事・給与担当への試算依頼で確認するのが確実です。

定年が65歳に上がると退職手当は変わりますか

定年は段階的に引き上げられており、移行期間中は短時間勤務の選択肢や経過措置があります。いつ辞めるかで扱いが変わる場合があるため、自分の生年度でどの年齢が定年にあたるかを人事担当に確認しておくと安心です。

参考・出典

  • e-Gov法令検索(民法・労働基準法・国家公務員退職手当法などの条文確認): https://elaws.e-gov.go.jp/
  • 内閣官房「退職手当の支給状況」
  • 弁護士法人みやび(公務員対応の退職代行料金): https://taishoku-service.com/
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