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転職活動を続けながら派遣で働いていて、ようやく正社員の内定が出た。ところが派遣の契約はまだ2か月残っていて、入社日は来月頭。この契約を途中で切って辞められるのか、それとも満了まで我慢するしかないのか。正社員が決まった人ほど、この時間の板挟みで動けなくなります。
結論から言うと、途中で辞められるかどうかは「あなたが無期雇用派遣か、有期雇用派遣か」で分かれます。ここを取り違えると、辞められる人が満了まで待ってしまったり、逆に辞めにくい契約なのに強引に抜けて派遣会社ともめたりします。まず自分の雇用形態を確認し、そのうえで派遣会社(派遣元)にどう伝えるかを組み立てるのが最短ルートです。
最初に確認するのは「無期雇用派遣」か「有期雇用派遣」か

派遣は派遣先の会社ではなく、派遣元(派遣会社)と雇用契約を結びます。退職の話をする相手も、法律上のルールが適用される相手も派遣元です。そのうえで、派遣元との契約に「期間の定め」があるかないかが、途中退職のしやすさを決めます。
| 区分 | 契約の性質 | 途中退職の根拠 |
|---|---|---|
| 無期雇用派遣 | 派遣元と期間の定めのない雇用契約(常用型) | 民法627条1項(申入れから2週間で終了) |
| 有期雇用派遣(登録型) | 3か月・6か月など期間を区切った雇用契約 | 民法628条(やむを得ない事由があれば即時解除) |
無期雇用派遣とは(労働者派遣法上の位置づけ)
無期雇用派遣とは、派遣元事業主に「期間の定めなく」雇われている派遣労働者のことです(労働者派遣法でいう無期雇用派遣労働者)。派遣先が変わっても派遣元との雇用は続き、次の派遣先が決まるまでの待機期間中も雇用関係が切れないのが特徴です。給与体系が月給で、雇用契約書に契約期間の記載がない場合はこの型に当たります。
有期雇用派遣(登録型)とは
登録型派遣とも呼ばれ、派遣先での仕事が決まるたびに、その期間に合わせて派遣元と有期の雇用契約を結ぶ形です。契約書に「2026年◯月◯日まで」といった終期が書かれていれば有期です。派遣で働く人の多くはこちらに当たります。契約期間が定められているぶん、途中で抜けるには法律上のハードルが一段高くなります。
無期雇用派遣なら民法627条で2週間、正社員が決まっても抜けられる
無期雇用派遣は「期間の定めのない雇用」なので、民法627条1項が適用されます。これは、期間の定めのない雇用は当事者がいつでも解約を申し入れることができ、申入れの日から2週間を経過すると雇用が終了する、というルールです。正社員が決まったかどうかにかかわらず、退職の意思を派遣元に伝えれば、原則として2週間後には辞められます。
ここでの計算例を挙げます。入社日が来月1日で、今日が前月14日だとすると、今日退職を申し入れれば14日後の月末には民法上の雇用終了日を満たせる、という逆算ができます。就業規則に「退職は1か月前まで」と書かれていることもありますが、民法627条の2週間は当事者の合意で一方的に延ばせる性質のものではないと解されており、無期であれば2週間を一つの基準に置けます。ただし引き継ぎや有給の残日数もあるため、現実には早めに伝えるほど調整の余地が広がります。
有期雇用派遣の途中退職は民法628条「やむを得ない事由」が要る

有期雇用派遣の場合、契約期間の途中で辞めるには、原則として民法628条の「やむを得ない事由」が必要です。これは、期間の定めがある雇用でも、やむを得ない事由があれば直ちに契約を解除できる、という規定です。何がやむを得ない事由に当たるかは個別判断で、体調不良やハラスメントなどが典型例として挙げられます。
難しいのは「正社員が決まった」という理由が、やむを得ない事由として当然に認められるとは限らない点です。キャリアアップは前向きな事情ですが、契約期間中の解除を正当化する事由かどうかは会社との合意にかかってくる場面が多く、ここは断定できません。現実には、派遣元と話し合って合意のうえで契約を終了させる(合意解約)形が円満です。なお、有期契約でも契約開始から一定期間が過ぎている場合など、労働者側から申し出て退職できる場面もあり、扱いは契約内容によって変わります。
途中退職の判断フロー(条件から結論へ)
- 雇用契約書に契約期間の記載があるか確認する。記載がなければ無期雇用派遣の可能性が高い。
- 無期雇用派遣なら、民法627条により退職を申し入れて2週間後に終了できる。入社日から逆算して申入れ日を決める。
- 有期雇用派遣なら、契約の残り期間と、やむを得ない事由に当たる事情があるかを整理する。
- 有期で満了が近い(残り数週間)なら、満了まで働いてから入社する調整のほうが円満なことが多い。入社日を少し後ろにずらせるか転職先に相談する。
- 有期で残りが長く、途中解約が必要なら、派遣元と合意解約の話し合いをする。合意できないときは専門家に相談する。
派遣会社(派遣元)への伝え方
連絡先は派遣先の上司ではなく、派遣元の担当営業やコーディネーターです。派遣先には派遣元から話が通るため、まず派遣元に伝えるのが順序です。伝える内容は、退職の意思・希望する最終出社日・退職理由の3点で足ります。理由は「正社員として採用が決まったため」と前向きに一言添えれば十分で、詳細な会社名や年収まで説明する義務はありません。
無期雇用派遣の人は、2週間という民法上の基準を念頭に置きつつ、引き継ぎの都合も踏まえて最終出社日を提案します。有期雇用派遣の人は、残り期間を示したうえで「途中で終了させてもらえないか」を相談ベースで切り出します。いずれもメールやLINEなど記録が残る形で伝えると、言った言わないのトラブルを避けられます。
派遣元がなかなか退職を認めてくれない、後任が見つかるまで待てと言われて話が進まない、といった状況では、自分で交渉を続けるより第三者に任せたほうが早いこともあります。退職代行のうち、労働組合が運営する型や弁護士が対応する型は、会社との交渉を代わりに行える立場にあります(民間業者は意思の伝達までで交渉権はありません)。どの型で何ができるかは退職代行おすすめ8社比較|有給交渉できるのはどの型かで整理しています。
有給消化と退職日の調整

派遣でも、6か月以上継続して勤務し、所定労働日の8割以上出勤していれば年次有給休暇が付与されます。退職時に有給が残っていれば、労働基準法39条にもとづき最終出社日のあとに有給を消化し、実際の退職日を後ろに置く組み立てが可能です。年次有給休暇は労働者に取得の時季を指定する権利があり、会社が持つのは他の時季に変更を求める時季変更権のみです。ただし退職間際は変更する先の日がないため、実務上は希望どおり消化できることが多くなります。
無期雇用派遣で「申入れから2週間」を使う場合、その2週間の中に有給を当てれば、出社せずに退職日を迎える組み立てもできます。有給の残日数は派遣元に確認し、正社員の入社日と重ならないよう逆算しておきます。有給の交渉を派遣元が渋る場合も、労働組合型や弁護士型の代行なら交渉の余地があります。
よくある質問
正社員が決まったことを派遣会社に言わずに辞められますか
退職理由の詳細を伝える法的義務はありません。「一身上の都合」でも退職の意思表示としては成立します。ただし円満に進めたいなら、正社員採用が決まった旨を一言添えたほうが調整がスムーズなことが多いです。
就業規則に「退職は1か月前まで」とありますが従う必要がありますか
無期雇用派遣の場合、民法627条の2週間が基準になると解されており、就業規則で一方的に延ばした期間に必ず縛られるとは限りません。とはいえ引き継ぎのため、可能な範囲で早めに伝えるのが現実的です。
有期雇用派遣で契約途中ですが、正社員内定は「やむを得ない事由」になりますか
当然に認められるとは言い切れません。個別の事情によるため、まずは派遣元と合意のうえで契約を終了させる方向で話し合うのが無難です。話が進まないときは専門家に相談してください。
派遣先と派遣会社、どちらに退職を伝えればよいですか
雇用契約は派遣元と結んでいるため、退職を伝える相手は派遣元です。派遣先へは派遣元から連絡が入ります。詳しくは同サイトの「退職代行 派遣社員|派遣会社と派遣先どちらに連絡するか」でも触れています。
退職日と正社員の入社日が空いてしまう場合の注意点はありますか
退職日と入社日の間が空くと、その期間の社会保険が切れることがあります。空白が生じそうなら、退職日を調整するか、間の期間の健康保険や年金の手続きを確認しておくと安心です。
2週間より前に辞めたい場合はどうすればよいですか
無期雇用派遣でも原則は申入れから2週間です。より早く辞めたい場合は、残っている有給を充てて出社を早く切り上げる、または派遣元と合意して退職日を前倒しする方法があります。
参考・出典
- 民法627条・628条(e-Gov法令検索): https://elaws.e-gov.go.jp/
- 労働基準法39条(年次有給休暇。e-Gov法令検索): https://elaws.e-gov.go.jp/
- 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律。e-Gov法令検索): https://elaws.e-gov.go.jp/
- 退職代行おすすめ8社比較(当サイト内比較記事): /resignation-service-comparison/

