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「来週の金曜に有給を取りたいけれど、口頭でいいのか、メールを送るのか、それとも紙の申請書を出すのか分からない」。日ごろ有給休暇(年次有給休暇。一定の要件を満たした労働者に与えられる、賃金が支払われる休み)をほとんど使っていない人ほど、いざ申請しようとすると手順で迷います。上司に切り出すタイミングも、書く内容も、会社ごとに慣習が違うため正解が見えにくいのが実情です。
先に結論を言うと、有給の申請のやり方はまず自分の会社の就業規則で決められた方法に従うのが基本です。というのも、法律は申請の「様式」までは定めていないため、口頭・メール・申請書・社内システムのどれで受け付けるかは会社の運用に委ねられているからです。この記事では、その前提を踏まえたうえで、実際に使えるメールと申請書のひな形、出すタイミング、変更を求められたときの考え方を順に整理します。
有給の申請に決まった様式はない|就業規則を先に確認する
年次有給休暇について定めた労働基準法39条は、労働者に「時季指定権」(いつ休むかを自分で指定できる権利)を認めています。一方で、その申請を「書面で出さなければ無効」「何日前までに専用フォームで」といった様式・手続きは法律には書かれていません。つまり、申請の形式そのものに法定のルールは存在しないというのが出発点です。
では何を見ればよいかというと、勤め先の就業規則です。厚生労働省が公開しているモデル就業規則(会社が就業規則を作るときの見本)にも年次有給休暇の条項が設けられており、多くの会社の規則はこれをもとに作られています。規則には「取得の何日前までに所定の様式で届け出る」といった申請方法が書かれていることが多いので、まずそこを確認してください。規則に定めがある場合は、その方法に沿って出すのが最もトラブルになりにくい進め方です。
就業規則が見当たらない、あるいは申請方法の記載がない場合は、直属の上司に「有給の申請はどの方法で出せばよいか」を一度確認しておくと確実です。運用が口頭でよい職場もあれば、証跡を残すためメールや申請書を求める職場もあります。
有給申請の基本の流れ|いつ・誰に・どう伝えるか
様式が自由でも、押さえるべき要素は共通しています。誰に、いつまでに、何を書いて出すかを整理しておくと、どの方法でも迷いません。
誰に出すか
原則は直属の上司です。承認の権限が上司にあり、勤怠の管理も上司が行うためです。人事部や勤怠システムへの登録が必要な会社では、上司の承認後にシステムへ入力する二段構えになっていることもあります。
いつまでに出すか
就業規則に「〇日前まで」と定めがあればそれに従います。定めがなくても、業務の調整が必要になるため、可能なかぎり早めに伝えるのが実務上は無難です。前日・当日の申請の扱いは会社ごとに差があるため、この記事では深追いせず、時季変更権の考え方だけ後述します。
何を伝えるか
最低限そろえたいのは、取得したい日付・日数・取得の単位(1日/半日など)です。理由の記載を求めるかどうかは会社によりますが、法律上は理由の申告義務はなく、「私用のため」で足りるのが一般的な考え方です。引き継ぎや当日の連絡先を添えると、承認がスムーズになります。
有給休暇の申請メールの書き方|そのまま使えるひな形
メールで申請する場合の構成を、当サイトで作成したひな形で示します。他社の雛形の転載ではないので、社名や部署名を置き換えてそのまま使えます。以下の要素を上から順に入れてください。
- 件名:有給休暇取得のご申請(氏名)
- 宛名:〇〇部 △△課長
- 書き出し:お疲れさまです。〇〇部の△△です。
- 本文:下記のとおり年次有給休暇を取得したく、ご申請いたします。ご確認のほどよろしくお願いいたします。
- 取得希望日:2026年〇月〇日(〇) 1日
- 理由:私用のため
- 引き継ぎ:当日の〇〇業務は□□さんに依頼済みです。緊急のご連絡は携帯(090-0000-0000)までお願いいたします。
- 結び:ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
ポイントは、件名で用件と氏名がひと目で分かること、本文で日付・単位・引き継ぎの3点が抜けないことです。返信で承認を残しておくと、後で「聞いていない」といった行き違いを防げます。
有給の申請書の書き方とひな形|記載項目の一覧
紙の申請書や社内システムで申請する場合も、入れる項目はメールと同じ考え方です。当サイトで作成した記載項目のひな形を表にまとめます。自作の申請書を作る際や、システムの入力欄を確認する際のチェックリストとして使ってください。
| 項目 | 記入内容の例 |
|---|---|
| 提出日 | 2026年〇月〇日 |
| 氏名・所属 | 〇〇部 △△ □□ |
| 取得年月日 | 2026年〇月〇日(〇) |
| 日数・単位 | 1日/半日/時間単位 いずれか |
| 取得後の残日数 | 会社が記入する欄のことが多い |
| 理由 | 私用のため(詳細記載は任意) |
| 引き継ぎ・連絡先 | 担当代行者と緊急連絡先 |
| 承認欄 | 上司・人事の押印またはサイン |
理由欄がある様式でも、具体的な私事まで書く必要はありません。残日数欄は自己申告と会社の記録がずれることがあるため、心配なら申請前に自分の残日数を確認しておくと安心です。
申請が通らない・日をずらすよう言われたときの考え方
申請しても承認されない、別の日にしてほしいと言われた場合の判断は、次の流れで整理します。
- 会社ができるのは「時季変更権」だけ:使用者に認められているのは、事業の正常な運営を妨げる場合に日をずらしてもらう時季変更権であって、有給の取得そのものを拒否する権限ではありません(労働基準法39条5項)。
- 変更を求められたら代替日を確認する:正当な変更なら、いつなら取れるかを具体的に確認します。単なる「忙しいから不可」は時季変更権の要件を満たさない可能性があります。
- 取得自体を認めない対応が続く場合:就業規則の申請方法どおりに出した記録(メールや申請書の控え)を残したうえで、社内の相談窓口や労働基準監督署への相談を検討します。
退職が絡む場面では事情が変わります。退職日までに残った有給を消化したいのに拒否される、といったケースは扱いが異なるため、退職と有給の関係を扱う記事を別に用意しています。
退職前にまとめて有給を申請するとき
退職に合わせて残りの有給をまとめて申請する場合、通常の1日単位の申請とは進め方が違ってきます。退職日から逆算して消化日程を組む必要があり、会社が有給消化に応じないと欠勤扱いになるリスクもあります。自分で交渉するのが難しいと感じるときは、退職の連絡と有給の希望をまとめて代行してもらう選択肢もあります。運営主体の型によって有給の交渉ができる範囲が変わるため、依頼を検討する場合は退職代行の比較記事で、有給の交渉に対応できる型を確認してから選ぶと失敗が減ります。
よくある質問
有給の申請は口頭だけでも有効ですか
法律は様式を定めていないため、口頭でも申請自体は有効と考えられます。ただし就業規則で書面や所定様式が指定されている場合はそれに従うのが基本で、後の行き違いを防ぐ意味でもメールなど記録の残る方法が無難です。
申請書に理由を詳しく書く必要はありますか
詳細な理由の申告義務はなく、「私用のため」で足りるのが一般的です。会社が理由の開示を強く求めても、私事の内容まで説明する義務はないと考えられます。
何日前までに出せばよいですか
就業規則に「〇日前まで」と定めがあればそれに従います。定めがなくても業務調整のため早めの申請が無難です。前日・当日の扱いは会社差があるため、事前に運用を確認しておくと安心です。
上司に有給の申請を拒否されたら違法ですか
会社に認められているのは日をずらす時季変更権までで、取得そのものを拒む権限はありません(労働基準法39条5項)。取得自体を認めない対応が続く場合は、申請記録を残して労働基準監督署などへの相談を検討してください。
メールと申請書のどちらで出すべきですか
まず就業規則で指定された方法を確認してください。指定がなければ、承認のやり取りが記録に残るメールが実務上は扱いやすい方法です。
半日や時間単位でも同じように申請できますか
半日単位や時間単位の有給を導入しているかは会社によって異なります。導入されていれば、申請書やシステムの単位欄で選んで申請します。導入の有無は就業規則や労使協定で確認してください。
参考・出典
- 労働基準法(e-Gov法令検索) https://elaws.e-gov.go.jp/
- 厚生労働省 モデル就業規則 https://www.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省 年次有給休暇の解説(働き方・休み方改善ポータル等) https://www.mhlw.go.jp/

