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退職代行への依頼を明日に控えて、いちばん気がかりなのが「会社は何をしてくるのか」という点ではないでしょうか。上司から何度も電話がかかってくるのか、退職を認めてもらえないのか、貸与品や有給はどう扱われるのか。依頼者からは会社の中が見えないぶん、その動きは実際以上に大きく見えがちです。
先に結論を述べます。退職代行の連絡を受けた会社側の対応は、依頼者本人の意思確認・在籍事実と貸与品の確認・退職手続きの3つが軸で、退職そのものを止める法的な手段は基本的にありません。会社にとっても、辞める意思が固い社員を無理に引き止めるより手続きを進めたほうが合理的だからです。ただし有給や退職金の交渉に会社が応じるかは、依頼した業者の運営主体(サービスを運営しているのが民間の会社か、労働組合か、弁護士か)によって大きく変わります。交渉したい事項がある人は、この一点を基準に業者を選ぶのが妥当です。
退職代行の連絡を受けた会社側がまず動くこと

退職代行から会社に第一報が入ると、多くの場合は電話かメール、書面で「本人の依頼を受けて退職の意思を伝える」旨が通知されます。これを受けた人事や上司が最初に確認するのは、次の3点です。
- 本人の意思かどうか。第三者が勝手に連絡している可能性を排除するため、依頼者の氏名・所属・入社時期などが在籍記録と一致するかを照合します。
- 退職日と最終出社日。就業規則上の退職日、引き継ぎや貸与品の扱いをどう処理するかを社内で整理します。
- 貸与品と社内アカウント。制服・PC・社員証・入館証などの返却方法、業務システムのアカウント停止のタイミングを確認します。
ここで会社側が感情的に反発することもありますが、実務上は「引き止めても戻ってこない」と判断し、事務的に手続きへ移るケースが大半です。人事の関心は、辞める本人を説得することより、退職日を確定させて後任や引き継ぎの穴をどう埋めるかに移っていきます。
退職代行に対して会社側ができること・できないこと
会社側の対応を「できること」と「できないこと」に分けて整理すると、依頼者の不安の多くは根拠のないものだと分かります。
| 会社側の行動 | 可否 | 補足 |
|---|---|---|
| 退職の意思を本人に確認する連絡 | できる | 本人確認のための連絡自体は正当。ただし本人が拒否していれば代行を通すのが筋 |
| 貸与品の返却・引き継ぎの依頼 | できる | 郵送での返却で対応可能なことが多い |
| 退職を拒否・保留する | できない | 期間の定めのない雇用は申入れから2週間で終了する(民法627条1項) |
| 「損害賠償を請求する」と脅す | 原則できない | 実際の損害の立証が必要で、退職しただけでは成立しにくい |
| 離職票・源泉徴収票の交付を拒む | できない | 交付は会社の義務。届かない場合はハローワークに相談できる |
会社が強い口調で引き止めや警告をしてきても、それは「対応としてできること」の範囲を超えていることが少なくありません。依頼者本人が代行に窓口を一本化していれば、会社からの直接連絡に応じる義務はありません。
会社側は退職を拒否できるのか(民法627条という前提)

「辞めさせてもらえないのでは」という不安は根強いものですが、法律上、期間の定めのない雇用(正社員など)は、労働者が退職を申し入れてから2週間が経過すれば雇用契約が終了します(民法627条1項)。会社の承諾は要件ではないため、会社側が「認めない」と言っても退職の効力そのものは妨げられません。
有期雇用(契約社員・派遣など期間の定めがある働き方)の場合は、途中解約には原則として合意が必要ですが、やむを得ない事由があれば即時に解除できるとされています(民法628条)。この判断は個別事情によるため、契約期間の途中で辞めたいときは、交渉に対応できる業者を通すほうが安全です。
有給休暇が残っていれば、労働者には取得日を指定する権利があり(労働基準法39条5項)、申入れから退職日までを有給消化に充てて出社しない形が取りやすくなります。逆に有給が無いと、退職日までの2週間が欠勤扱いになることもあります。
有給が無い正社員の「2週間」の見え方
有給が残っていない人が今日退職を申し入れた場合の、在籍と扱いの内訳は次のようになります。
- 申入れ日から退職成立まで: 14日間(民法627条1項)
- このうち有給が0日なら、出社しない日は欠勤(無給)扱いになりうる
- 会社との合意で即日退職に切り替わることもあるが、それは会社側の任意
つまり「即日で辞めて一切出社しない」を確実にしたいなら、有給の残日数と、その消化を会社に伝えて調整できる業者かどうかが分かれ目になります。
有給・退職金・貸与品で会社側の対応が分かれるのはなぜか
同じ退職代行でも、会社側が交渉のテーブルに着くかどうかは、運営主体によって法的な立場が違うために変わります。会社の人事から見ると「相手が交渉権を持つか」で対応の重さが変わるということです。
| 運営主体 | 会社側との交渉 | 根拠 |
|---|---|---|
| 民間(会社が運営) | 意思を伝えるのみ。交渉は不可 | 報酬目的で法律事務を扱うのは非弁行為として禁止(弁護士法72条) |
| 労働組合 | 有給・退職金・未払いなどの団体交渉ができる | 労働組合の団体交渉権(労働組合法6条・7条) |
| 弁護士 | 交渉に加え、損害賠償など法的トラブルにも対応 | 弁護士による法律事務 |
民間型は費用が抑えやすい一方で、会社が有給消化を渋ったときに「伝える」以上のことができません。有給や退職金でもめる余地があるなら、労働組合型か弁護士型を選ぶと、会社側も交渉に応じざるを得なくなります。運営主体ごとの料金や交渉範囲の全体像は、退職代行の比較記事で確認できます。
参考までに、公式サイトで確認した料金の目安(2026年9月時点・公式サイト確認)は、民間型で12,000〜29,000円台、弁護士型は着手金27,500〜77,000円に成功報酬(回収額の20%+税)が加わる形が中心です。会社との交渉が発生しそうかどうかで、この差額をどう見るかが決まります。
会社側が態度を硬化させやすいケースと、事前にできる準備

会社側が事務的に処理せず、態度を硬くしやすいのは次のような場合です。人事の立場で見ると、いずれも「手続きが滞る」「損失が読めない」という不安が引き金になっています。
- 担当していた業務の引き継ぎが全くなく、後任が困る状態のまま連絡が来た
- 会社の備品・データを持ち出したままになっている
- 社宅や寮に住んでいて、退去や鍵の返却の調整が必要
- 入社直後や、繁忙期のプロジェクト途中での退職
こうした摩擦は、依頼前の準備である程度やわらげられます。貸与品を返却できるようまとめておく、私物を持ち帰っておく、引き継ぎ資料の所在をメモしておく、といった準備があるだけで、会社側は「争う理由がない」と判断しやすくなります。
会社側の反応が読めないときの準備フロー
- 有給が残っているか。残っていれば消化を伝えられる労組・弁護士型が有利
- 退職金・未払い残業代など請求したいお金があるか。あれば交渉できる型を選ぶ
- 社宅・寮・貸与品など返却や退去の調整があるか。あれば書面でやり取りできる業者に依頼
- 入社直後や有期契約の途中か。あれば法的判断が絡むので弁護士型も検討
この順に当てはめると、自分の状況で会社側がどこにこだわりそうかが見えてきます。交渉が要らない単純な退職なら民間型でも足り、交渉が絡むなら運営主体を上げるという整理です。
よくある質問
会社から自宅や家族に直接連絡されませんか
本人が退職代行に窓口を一本化していれば、会社は代行を通して連絡するのが原則です。ただし会社が本人確認のために連絡してくることはあり、それにどう対応するかを依頼時に業者へ伝えておくと安心です。親への連絡が心配な場合は、その旨を最初に会社へ伝えてもらう運用が取れる業者を選ぶとよいでしょう。
会社が「退職を認めない」と言ってきたらどうなりますか
期間の定めのない雇用は申入れから2週間で終了するため(民法627条1項)、会社が認めなくても退職の効力は妨げられません。会社側にできるのは意思確認や引き継ぎの依頼までで、退職自体を止めることはできません。
損害賠償を請求すると会社に言われました。応じる必要はありますか
退職しただけで損害賠償が成立することは少なく、会社は実際の損害と因果関係を立証する必要があります。脅し文句にとどまるケースが多いものの、引き継ぎの放棄などで実害が争点になりうる状況なら、弁護士が対応する業者に相談するのが安全です。
貸与品はどうやって返せばいいですか
制服やPC、社員証などは郵送での返却で対応できることが多く、その方法を代行が会社と調整します。返却対象を事前にまとめておくと、会社側の懸念が減り、手続きが早く進みます。
離職票や源泉徴収票は会社が出してくれますか
これらの交付は会社の義務なので、退職代行を使ったことを理由に拒むことはできません。もし届かない場合は、ハローワークや年金事務所に相談する道があります。
会社側の反応が怖いのですが、当日の連絡はどう進みますか
多くの業者は本人に代わって会社へ連絡を入れ、その後のやり取りも窓口となります。本人が会社と直接話す必要は基本的にないため、当日は業者からの進捗連絡を待つ形になります。
入社直後でも会社側は退職を受け入れますか
入社直後でも退職は可能で、会社が受け入れないという選択はできません。ただし試用期間や有期契約の途中など個別事情がある場合は、法的な判断が絡むため、交渉や法律相談に対応できる業者を選ぶと安心です。
参考・出典
- e-Gov法令検索(民法627条・628条、労働基準法39条、弁護士法72条、労働組合法6条・7条): https://elaws.e-gov.go.jp/
- 退職代行Jobs 公式サイト: https://jobs1.jp/
- 弁護士法人みやび 公式サイト: https://taishoku-service.com/
- 退職代行SARABA 公式サイト: https://taisyokudaikou.com/
- 退職代行モームリ 公式サイト: https://momuri.com/

