本記事にはプロモーション(PR)が含まれます。
次の会社から内定をもらい、入社日も決まった。ところが今の職場にはまだ何も言えていない。残っている有給休暇(給与が出る休み。以下、有給)を捨てたくないし、引き継ぎもある。いつ「辞めます」と切り出せば、新しい入社日に無理なく間に合うのか。この記事は、そういう「日程は決まったが逆算ができていない」人に向けたものです。
結論から言えば、退職までの期間は「今の会社を辞める日」からではなく「新しい会社の入社日」から逆算して決めます。入社日を固定した起点として、そこから有給消化に必要な日数、引き継ぎの日数、そして法律が最低限求める予告期間(辞めると伝えてから退職できるまでの期間)をさかのぼって引いていく。この順番で計算すれば、「申し出が遅すぎて有給を捨てる」「早すぎて在職中に気まずくなる」の両方を避けられます。
転職が決まってから退職するまでの期間を逆算する
多くの人は「退職の申し出→退職日」の順で前から考えます。しかし転職が決まっている場合、動かせない一点は新しい会社の入社日です。ここを起点に後ろから前へ計算するほうが、必要な期間を取りこぼしません。
逆算に必要な要素は4つです。(1)新しい会社の入社日、(2)退職日(今の会社に在籍する最終日)、(3)有給の残日数、(4)引き継ぎに必要な日数。ここに、法律上の下限である予告期間が制約として重なります。
まず退職日を入社日の直前に置く
退職日と新しい会社の入社日のあいだが空くと、その期間は自分で国民健康保険や国民年金に切り替える手続きが必要になり、社会保険の空白が生まれます。空白を避けたいなら、退職日を入社日の前日など、できるだけ隙間なく設定するのが基本です。ここでは退職日を起点の一つとして固定します。
退職日から有給の残日数を引く
有給を全部使い切って辞めるなら、最終出社日(実際に会社に行く最後の日)は「退職日から有給の残日数ぶんさかのぼった日」になります。有給の残日数は勤続年数や取得状況で人それぞれ違うため、給与明細や勤怠システムで自分の残数を必ず確認してから逆算します。
逆算の順序と最低限必要な日数
順序を整理すると、次の表のようになります。上から下へさかのぼって計算し、いちばん下で出た日が「遅くともこの日までに申し出るべき日」です。
| ステップ | 内容 | 目安の期間 |
|---|---|---|
| 起点 | 新しい会社の入社日 | 動かせない(変更は入社先との交渉次第) |
| ① | 退職日を入社日の直前に置く | 空白を作らないなら入社日の前日 |
| ② | 退職日から有給の残日数を引く(最終出社日) | 残日数ぶんの営業日 |
| ③ | 最終出社日の前に引き継ぎ期間を確保 | 会社と業務による |
| 制約 | 申し出から退職日まで最低2週間を空ける | 2週間(民法627条1項) |
| 結論 | 退職を申し出る日 | ②③をさかのぼった日、かつ制約を満たす日 |
民法が定める2週間(民法627条1項)
期間の定めのない雇用(正社員など)では、退職を申し出てから2週間が経てば雇用契約は終了する、と民法627条1項に定められています。会社の就業規則に「退職は1か月前まで」と書いてあっても、法律上の下限はこの2週間です。逆算した結果、申し出から退職日までが2週間を切ってしまう場合は、退職日を後ろにずらすか、入社日の調整が必要になります。
契約社員など期間の定めがある雇用は扱いが異なり、原則は契約期間の満了までですが、やむを得ない事由があれば途中でも解除できると民法628条にあります。有期契約の人は自分の契約タイプを先に確認してください。
有給消化を最後に置く理由(労働基準法39条)
有給をいつ取るかを決める権利(時季指定権)は労働者にあり、会社はその時季を変更できるだけ、というのが労働基準法39条の建て付けです。退職が決まっている場合、会社は「別の日にずらす」先の在籍日がないため、退職前の有給消化は実務上まとめて取りやすくなります。だからこそ、逆算では有給消化を退職日の直前にまとめて置き、その前に引き継ぎを済ませる組み方が現実的です。
具体例で計算する(内定から入社まで)
数字を入れて逆算してみます。ここでの有給残日数はあくまで例として置いた仮の数字で、実際はご自身の残数に置き換えてください。
前提の例
- 新しい会社の入社日:4月1日
- 有給の残日数:12日(例。営業日ベース)
- 引き継ぎに必要と見込む期間:約2週間
逆算の明細
- ① 退職日を入社日の前日に置く → 3月31日(社会保険の空白を作らない)
- ② 退職日から有給12日(営業日)を引く → 最終出社日は3月中旬ごろ
- ③ 最終出社日の前に引き継ぎ約2週間を確保 → 引き継ぎ開始は3月初め
- 制約の確認:申し出(3月初め)から退職日(3月31日)までは2週間以上ある → 民法627条の下限を満たす
この例だと、遅くとも3月初め、余裕を見れば2月下旬には退職を申し出ておく計算になります。有給の残日数が多い人ほど最終出社日が前倒しになり、申し出はさらに早める必要があります。逆に有給がほとんど残っていない人は、②の期間がほぼゼロになり、③の引き継ぎと2週間の予告だけで組めるため、申し出は入社日の3〜4週間前でも間に合うことがあります。
有給が消化しきれないときの選択肢
逆算してみて「入社日までに有給を全部使い切れない」と分かることがあります。よくあるのは、内定から入社までの期間が短く、有給残日数のほうが多いケースです。取れる手は主に3つあります。
- 入社日を後ろにずらす交渉:新しい会社に事情を伝え、入社日を1〜2週間遅らせてもらえれば、その分だけ有給を消化する余地が生まれます。転職先には早い段階で相談するほど通りやすくなります。
- 引き継ぎを前倒しして有給期間を確保する:申し出を早め、引き継ぎを先に終わらせてしまえば、退職日直前にまとめて有給を取りやすくなります。
- 会社が有給消化を認めない場合の対処:退職時の有給取得を会社が拒むことは原則として認められません。とはいえ現場で話がこじれると、残った有給を捨てざるを得なくなる人もいます。自分で交渉しづらいときは、有給消化の希望を会社へ伝え、退職日まで出社せずに済むよう調整してくれる退職代行サービスを使う手もあります。運営主体によって交渉できる範囲が違うため、料金だけでなく「有給の扱いを交渉できる型か」で選ぶのがポイントです。どの型なら有給の交渉ができるかは退職代行おすすめ8社比較で整理しています。
判断フロー:申し出のタイミングをどう決めるか
ここまでを、条件で分岐する判断フローにまとめます。上から順に自分の状況に当てはめてください。
- 新しい会社の入社日は確定しているか。 → 確定していないなら、まず入社日を固めてから逆算する。
- 有給の残日数を給与明細や勤怠システムで確認したか。 → 未確認なら先に確認する。逆算の起点になる数字です。
- 入社日の前日を退職日にしても、有給日数+引き継ぎ期間が確保できるか。 → できるなら、その日数を入社日からさかのぼった日が申し出の目安。
- さかのぼった申し出日から退職日まで2週間以上あるか。 → 足りないなら、入社日をずらす交渉か、有給の一部消化を諦める判断が必要(民法627条1項の下限)。
- 会社が有給消化や退職日をすんなり認めそうか。 → 難航しそうなら、早めに動くか、交渉に対応できる退職代行の利用を検討する。
よくある質問
転職が決まってから退職を申し出るまで、どれくらい前が目安ですか
有給の残日数によって変わります。有給をほぼ使い切って辞めたい人は、入社日の1〜2か月前を目安に申し出るケースが多く、有給が少ない人は民法627条の2週間に引き継ぎを足した3〜4週間前でも間に合うことがあります。まず自分の有給残数を確認して逆算してください。
会社の就業規則に「退職は1か月前まで」とあります。従わないといけませんか
期間の定めのない雇用なら、法律上は申し出から2週間で退職できます(民法627条1項)。ただし引き継ぎや円満退職の観点から、就業規則の期間に沿えるなら沿っておくほうが無難です。日程が厳しいときの最終的な下限が2週間だと理解しておくとよいです。
退職日と入社日は空けないほうがいいですか
空けると、その期間の社会保険を自分で切り替える手続きが発生し、保険料の負担や空白が生じます。手続きを増やしたくないなら、退職日を新しい入社日の直前に置いて空白を作らないのが基本です。
有給が入社日までに消化しきれないときはどうすればいいですか
新しい会社に相談して入社日を後ろにずらす、引き継ぎを前倒しして有給期間を確保する、といった方法があります。それでも難しい場合は、残った有給の扱いをどうするか会社と交渉することになります。
退職時の有給取得を会社が拒否できますか
退職が決まっている場合、会社が時季を変更できる先の在籍日がないため、退職前の有給取得を拒むことは原則として認められません。労働者に有給の時季を決める権利があることは労働基準法39条に定められています。
契約社員でも同じように逆算できますか
基本の考え方は同じですが、期間の定めがある雇用は原則として契約期間の満了までです。途中で辞める場合はやむを得ない事由が必要になることがあります(民法628条)。自分の契約タイプを先に確認してください。
参考・出典
- 民法(e-Gov法令検索。627条・628条)
- 労働基準法(e-Gov法令検索。39条)

